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2009.04/13(Mon)

【ネタバレ】PSP Ever17-the out of infinity-真相を見ての感想

PSP版Ever17-the out of infitity-、ココ編のエンディングをクリアしました。
まだ埋まっていないエンディングが2つ、CGも少し残っていますが、ストーリーはほぼ全貌を把握できたと思います。

なお、ルートの分岐など攻略情報に関しては、限定版に付属していた「Ever17 PREMIUM BOOK」を利用しました。ゲーム自体に攻略情報が付属しているのは複雑な気分になりますが、ネットで攻略情報を検索していると思わぬネタバレを踏まされることもあるので、助かったことも事実です。
Ever17 -the out of infinity- PREMIUM BOOK つぐみ&空編 Ever17 -the out of infinity- PREMIUM BOOK 優&沙羅編 Ever17 -the out of infinity- PREMIUM BOOK ココ編

ネタバレ無しの総評

テキストを読み、途中で出てくる選択肢を選ぶことによってエンディングが変化するタイプのゲームです。

アドベンチャーに分類されているように、選択の重要性は比較的高く、望むエンディングに辿り着くためには、多目の試行錯誤か、攻略情報が必要です。
攻略情報はネットで検索すれば豊富に見つかりますが、上記のとおり、限定版には「Ever17 PREMIUM BOOK」という小冊子が同梱されており、不用意にネタバレに触れることなくストーリーを追うことができました。

システムはテキストを読むことに関しては快適でした。スキップも高速です。ロードもほとんど気になりませんでした。

肝心のゲーム内容ですが、面白いか面白くないかで言えば、自分は楽しめました。買って損はしないと思います。ただ、プレイする際には、ネタバレを見ないように気をつけたうえ、最後までプレイしないと十分に楽しめないかもしれません。

以下、ネタバレあり


ネタバレ無しでこのゲームの面白さを語ることができればいいのですが、自分の文章力では無理だと思います。
以下、【ネタバレ】があります。

どこで感動させるつもりだったのだろう

設定とストーリーには、SFやファンタジー、ライトノベルで頻繁に見られるような要素が寿司詰めになっています。逆に言うと、いろいろな読み方のできる設定とストーリーと言うことです。
『崩壊しつつある海中の密室からの脱出』というアドベンチャー、『訳ありのヒロインとの激しい恋愛』や『触れることができないAIとのおとぎ話のような恋愛』というラブストーリー、『他のキャラには見えないものが見える』とか『だれも蹴れないはずの缶が蹴られる』というサスペンスやホラー、『「暗号」の解読』や『叙述トリック』というミステリー、『n+1次元の存在』や『第3視点』というハードSF、『不死者の孤独』や『神話や昔話との暗合』、『意味ありげな子守歌』といったファンタジー、そして、『プレイヤーがストーリーの中に登場する』というゲーム的なメタストーリー。さらに、これらに付随する大量のキーワードとばらまかれた数多くの伏線。

だけど、自分にとっては、こういった多くの読み方のうち、楽しめない読み方が多く、中途半端な、喉に小骨が刺さったままのような読後感です。
アドベンチャーとしては間延びしすぎて、サスペンスやホラーとしては不気味さが足りず、ミステリーやハードSFとしては整合性が取れていない部分が多すぎて、そして何よりも「ブリックヴィンケル」という「キャラクター」がゲームに登場してしまったために、メタストーリーがメタストーリーになっていない。さらに、回収されない、投げっぱなしの伏線も。

こんなにいろいろな要素を詰め込まずに、もう少し要素を絞ればよかったんじゃないかなあ。

もはやルール違反といえるご都合主義

最初の感想でご都合主義と、せっかくの緊迫感を削ぐシナリオをの2つを不満点としてあげました。

このうち、シナリオについての不満は解消しました。
以前に不満のあるシナリオについて例として引いたのはこんなシーン。
メンバーが次々と未知のウィルスに冒されて行く中、症状を緩和するアンプルが発見されて、それを注射しようとするシーン。ここにこんなくだらないシーンを挿入する神経が分かりません。仮にここに笑いを入れるとするなら、絶体絶命の状況に絶望しないように無理に発した死亡フラグっぽいジョークとか、笑えないブラックジョークではないかなと思うのですが。田中がこんなくだらないことを言い出した為に、血を吐いてぶっ倒れていたはずの倉成武がわざわざ体力を消耗させて彼女を取り押さえるシーンが出てきます。
これはおそらく自分の余命が幾ばくもないことを知っている優春が、貴重なアンプルを自分に使うのはもったいないと思ったがために取った行動だろうということがわかります。
このシーンの他にも緊迫感を削ぐシーンがたくさんあったのですが、納得できる理由付けがあるものが多いです。

これに対し、ご都合主義に関する不満は全く解消せず、むしろ物語の根本を揺るがしかねないルール違反の域に達しているのではないかと思います。
ご都合主義と言っても、例えばエンディングで空が肉体を得て、さらにテラバイトディスクにバックアップされていない会話に関する記憶を持っているというラストは、ご都合主義と言うよりファンタジーとして読まれるべき部分だと思うので、これはこれでいいのですけれど。
我慢がならなかったのが少年と沙羅が海面下34mのツバイトシュトックから「泳いで」脱出しちゃったこと。これって、ゲーム中でさんざん泳いで脱出することはできないってことを説明していたのを根本からひっくり返してくれます。閉鎖空間だったはずが、全然閉鎖空間じゃなかったわけで、こんなストーリー展開がアリだとすると、武が突然リレミトを唱えて脱出するのがアリなのと同じです。
不幸にも沙羅エンドに最初に辿り着いた人は、他のエンディングに辿り着くまでのストーリーが馬鹿馬鹿しくてしょうがなかったんじゃないかなあ。

ブリックヴィンケルじゃなくて自分が出演したかったのに

Ever17 その4
そして、いちばん楽しみにしていたメタストーリー。
もしかしたら、プレイヤーがストーリーに登場できるのではないか、それはどんな形で実現されるのだろう、と、ココ編の後半を読み進んでいたのですが。
Ever17 その14
せっかく「4次元人間さん」として、「n+1次元の存在」として、プレイヤーをストーリーに登場させたのに、どうして「ブリックヴィンケル」さんなんて名前をつけちゃったのでしょう。
Ever17 その12 Ever17 その15
こんな名前がついた時点で、プレイヤーであるはずの第三視点の持ち主は、ただのゲーム内のキャラクターになってしまいます。自分はここでいちばん感動させてもらいたかったのですが、すべてぶちこわしです。

いや、最後のこれを持ち出して、n+1次元の存在であるプレイヤーは、n+2次元の存在に見つめられているキャラクターなんだなんていう、ループを作り出したかったんだと思うのですが…
Ever17 その3
でも、n+1次元の存在であるプレイヤーの人生はゲーム、それも難易度の高すぎるクソゲーだなんてことは、喪板では常識なんだぜ。
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/motenai/1233970552/

このゲームの核、それは叙述トリック

そして、このゲームのストーリーの最大のキモは叙述トリックです。ミステリーではまれによく見かける手法ですが、ゲームでこれ程大がかりに使われているのを見たのは初めてです。
このゲームがネタバレを大変嫌うのも、キモが叙述トリックだからですね。
Ever17 その11
トリックとしてみても手が込んでいて、2017年と2034年のストーリーが並行して進行していること、「優」を名乗るキャラクターが実は二人いて、2017年と2034年では別の優が登場していることがココ編の途中で明かされます。
しかし、トリックはそれだけにとどまらず、少年編の武は少年であり、少年編の一人称の語り手たる「少年」は実は少年ではないという手の込みようです。
Ever17 その10 Ever17 その7
さらに、このトリックは、少年編の語り手たる「少年」をだますと同時に、ブリックヴィンケル=プレイヤーをだますために仕組まれたものだったことが、エンディング近くで明かされます。
メタストーリーの読者たるプレイヤーをだますために、ゲーム内のキャラクターが仕掛けた叙述トリックというのは、このストーリーがゲームというメディアを使って語られてこそ成り立つ仕組みだったと思います。
ただ、トリックとしてややルール違反気味なのが桑古木君の存在です。叙述トリックって、「Aだと思っていたらAではなく、既知のBだった」っていうようにだまして欲しいと思います。「優」については、オリジナルとクローンの両方の存在を伺わせる手がかりがたくさんあったのでいいのですが、桑古木君については、「少年だと思っていたら、全然知らない初登場のキャラだった」わけなので、読者としては不満です。

スピンオフさせたい空とのラブストーリー

Ever17 その16
これは以前の感想に書いたとおり。
さらに、エンディングの一人称の語りと「ポチッとな」でホロッと来ました。
Ever17 その5 Ever17 その6
考えてみると、ストーリーの中で空が果たしている役割はほとんどありません。空に関するエピソードを丸々落としても、ストーリーは全く破綻せずに成立します。
Ever17 その20
自分は、空に関するエピソードは全部外したほうがいいのではないかと思います。もちろん、捨てるのではなくて、別のゲームとして独立させて、空たんといちゃいちゃしたいのですが。

そして、最後に残ったのは

Ever17 その22
自分がいちばん思い入れを持てたのは、結局、「家族愛」でした。
武・月海・ホクト・沙羅と優春・優秋の二組の親子の家族愛です。男女の恋愛と違ってあんまりゲームのテーマになることがなく、不意打ちだったこともあって、ラスト近くのホクトと沙羅の武への甘えっぷりがとてもほほえましかったと思います。
Ever17 その8
あと、月海が子供を授かったのが海月の中だったっていうのはなかなか面白い隠喩ですね。

てか、男女の双子と時が止まっていた親との家族愛って、まんまドラゴンクエストVじゃね?
Ever17 その2


【動画はココ編エンドロール】

The Azure ~碧の記憶~ 今井麻美
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テーマ : PSP - ジャンル : ゲーム

22:55  |  Ever17-the out of infinity-  |  TB(0)  |  CM(3)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

ブリックヴィンケル(BlickWinkel)⇒直訳で多角視点
第三視点=プレイヤーで間違い無いと思うが

後、桑古木 涼権は2017年の少年ですよ。
通りすがり | 2009.04.14(火) 00:08 | URL | コメント編集

キュレイウィルスのキャリアであるつぐみやつぐみの子供である少年・沙羅は泳いで脱出可能でしょうが、2017年の武は無理でしょう。

まあ、あのシーンは確かに違和感を覚えるところですが、その違和感すらも伏線になっている、ということです。
通りすがり2 | 2009.04.14(火) 01:56 | URL | コメント編集

●>通りすがりさん

ブリックヴィンケルについては、「ブリックヴィンケル」という名前をつけたことで、そういうキャラクターがストーリーに登場してしまったような効果があること、従って、プレイヤーの操作するキャラクターではなく、プレイヤー自身がストーリーに登場するというメタストーリーの興をを削いでいるのではないかと言うことです。
桑古木少年については、真相が明かされるまで、プレイヤーには「桑古木」という人物が存在することが示されていません。このストーリーを叙述トリックを用いたミステリーとして読んだ場合には、これは「お約束」違反だと言うことです。
ホクトと沙羅が泳いで脱出したことについては、「キュレイは劣性遺伝するので、キュレイとサピエンスが交雑してできるのはキュレイの特徴が発現しないサピエンスである」とゲーム中で詳しく解説されています。
この解説に従えば、ホクトも沙羅も不老不死的な身体能力は持っていないはずです。

設定が全てだとか、つじつまが合わないところがありすぎるということではありません。空の身体だとか、ココの存在とかは、ファンタジーとして読めば、あれでいいのだと思います。

自分にとっては、Ever17は楽しめましたし、人に勧めることができるとも思います。長所としてあげられるのは、叙述トリックをゲームで成立させたことと、家族愛です。そして、さまざまな要素を詰め込みすぎて、長所が殺されている嫌いがあるのが残念だと思っています。
羽根 | 2009.04.15(水) 02:10 | URL | コメント編集

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